綺麗なものは汚いを排除しているということを。

最近、心地良い環境を推奨するような言説が増えてきた気がする、「批判は気にするな」「良いところを探して行こう」「叱るより褒めよう」「つまらないと言う人間より褒めてくれる人間を大事にしよう」などなどなど……

もちろん、これらの考えを完全に否定する気はない。心地良い方が心地悪いよりは良いだろう、きっと多分。

でも少し不安な気持ちになることもある。自分の中にもあるだろう心地の悪い自分を抑え、最悪殺すまでに到るのではないかという不安である。心地の悪い自分にとって心地の良い環境は心地悪かったりする。この時に当然のように心地の悪い自分が削除されてしまう世界というものは少し恐ろしいと思ってしまう。

綺麗なものだけを祭り上げ、汚いものを遠ざけて無意識のうちに追放して最悪殺してしまう世の中で自分が最後まで追放されないという保証はどこにもなく、美しいものを志向していく世界に僕はついていけるのだろうか。